普段飲みを探せ!のパルミジャーノおじやで <新関 男の夢 辛口本醸造>
高い酒ばかり飲み比べしていたら経済的にキツイっすよ、なんていう負け惜しみじゃあなくて(ホントか?)、やっぱり普段気兼ねなく飲めるマイ・フェイバリットって欲しいですね。川鶴も飲んでしまったので、そんなことを考えつつ酒のクラカド に新しい酒を買いに昨日の土曜、行ってきたわけです。
「本醸造で燗にして飲むのに今おすすめのものはありますか?」と私。
「そうですねぇ。何がいいでしょう。軽いのがいいですか?」
ん? 「軽いの?」
軽いとか重いってあんまり表現として使ってなかったなぁ、なんてアタマの中でグルグル「軽い」という意味を咀嚼していたのだけれど、つい
「あー、そうですね」
と、自分でもこらえきれずに応えてしまってました。
そして、カウンターに"どん"と置かれたのが「新関 男の夢」(宮城)。どんと置かれたら買わないわけにはいかないわけで、昨日はウンチクを語ってもらうための水も向けずにそそくさと買って帰ってきました。
そして今日、冷蔵庫のあら探しをしていたら老ねこびたパルミジャーノ・レッジャーノを奥の奥から発見! こりゃ使っちまわないといけないという使命感と、辛口本醸造との謳い文句がビビッと化学反応を起こして、「パルミジャーノおじや」を思いついてしまいました。
早い話が、おばあちゃんが作ってくれるようなおじやの鰹節を、パルミジャーノに変えただけのもの。これだと塩分ばかりで旨みが足りないので、イクラと大葉でちょいとサポート。幸福だった子供の頃を思い起こさせるおばあちゃん直伝のおじやの至福感にはかなわないけれど、たけのことがんもの煮物や鯵の梅煮などの今日の和食メニューの閉めとしてもなかなかのマッチング。パルミジャーノが優れた出汁であることを再確認した次第。
さてさて、本題の「新関 男の夢」ですが、冷やと燗とで割と味わいの異なる酒でした。冷やで飲む最初のうちは確かに辛口でアルコールからくるキレを感じるのですが、燗をつけるとそのアルコール感がそこはかとない甘みに変化するようです。実はアルコールのうきが消えて、隠れていた旨みが立ってくるのかも知れませんが、冷やから燗へと飲み進むと、そんな風に思えます。いずれにしてもキレとコクがバランスしていて、それが温度によって割合が変わっていく感じが面白いです。さらに精米歩合60%らしい吟香もほんのりです。
新関という銘柄は、実は日高見の地元銘柄、というか、蔵元平孝酒店のもともとの銘柄なんですね。日高見は今の社長が全国での流通を見据えて特定名称酒として新たに作ったものとのこと。もともとの銘柄で展開する少数取り扱いのPBが男の夢ということらしいです。
などと書きながら食後に冷で飲る男の夢は、燗の時の旨みもなぜか十分に感じられて、普段飲み2100円のコストパフォーマンスは結構高いかもしれません。